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証券化関連法

不動産証券化に関連する法律のまとめです。
全文を載せるのは容易ではないため、簡略化した一部のみを記載しています。

1. 赤文字の部分はポイントとなるところです。
2. 法律の趣旨や現場で使われる方式等との関連で、説明・内容を書き加えています。

※注記
  • 内容に関しましては、加工の際に誤字・脱字等が生じている場合がございますので、ご活用にあたっては自己責任でお願いたします。

証券化関連法の分類 資産の流動化に関する法律 不動産特定共同事業法
投資信託及び投資法人に関する法律 金融商品取引法

証券化関連法の分類

流動化型の証券化は、特定の資産(ABS:例えば、土地等)に対応することになります。逆に、ファンド型の場合は特定の資産に対応しないことになります。


資産の流動化に関する法律

TMK方式
特定の資産を流動化させるという話です。
何で流動化させるかと言えば、1.財務の健全化、2.資金調達が理由として挙げられています。 例えば、ある会社が100億円の資産を持っていて、そのうち90億円が負債だとします。つまり、純資産は10億円です。
この場合、資産が後一割値下がりすると債務超過に転落するため、危ない状態です。
そこで、会社の資産100億円のうち、80億円分が不動産だとすると、これを特定目的会社に売却することによって、80億円分の負債が返済可能になります。
よって、売却後の会社の資産は20億円、そのうち負債は10億円となり、全資産に占める割合は50%まで下がります。 売却前と比べて総資産に占める負債の割合が減ったことから、財務の健全化が行われるわけです。


※ 実務上は、一旦信託することが多いです。

1. 目的(1条)
この法律は、特定目的会社又は特定目的信託を用いて資産の流動化を行う制度を確立し、
これらを用いた資産の流動化が適正に行われることを確保するとともに、 資産の流動化の一環として発行される各種の証券の購入者等の保護を図ることにより、
一般投資家による投資を容易にし、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

2. 定義(2条)
(1)特定資産
  資産の流動化に係る業務として、特定目的会社が取得した資産又は受託信託会社等が
  取得した資産をいう。
(2)資産の流動化
  一連の行為として、特定目的会社が資産対応証券の発行若しくは特定借入れにより
  得られる金銭をもって資産を取得し、又は信託会社若しくは信託業務を営む銀行その
  他の金融機関が資産の信託を受けて受益証券を発行し、これらの資産の管理 及び
  処分により得られる金銭をもって、次の各号に掲げる資産対応証券、特定借入れ及び
  受益証券に係る債務又は出資についてそれぞれ次の行為を行うことをいう。
  ① 特定社債、特定約束手形若しくは特定借入れ又は受益証券…その債務の履行
  ② 優先出資…利益の配当及び消却のための取得又は残余財産の分配
(5)優先出資
  均等の割合的単位に細分化された特定目的会社の社員の地位であって、当該社員が、
  特定目的会社の利益の配当又は残余財産の配分を特定出資を有する者に先立って受け
  る権利を有しているものをいう。
(6)特定出資
  均等の割合的単位に細分化された特定目的会社の社員の地位であって、特定目的会社
  の設立に際して発行されたものをいう。

3. 業務開始届出(4条)
(1)特定目的会社は、資産の流動化に係る業務を行うときは、あらかじめ内閣総理大臣に
  届け出なければならない。

4. 資産流動化計画
(2)承認(6条)
  特定目的会社が業務開始届出を行うときは、資産流動化計画について、あらかじめ
  すべての特定社員の承認を受けなければならない。

6. その他届出義務
(2)資産流動化計画に係る業務の終了の届出(10条1項)
  特定目的会社は、資産流動化計画に従って、優先出資の償却、残余財産の配分並びに
  特定社債、特定約束手形及び特定目的借入れに係る債務の履行を完了したときは、
  その日から30日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

不動産特定共同事業法

<YK-TK方式>
以下のスキーム図のように、企業の固定資産を銀行に信託することで、不動産特定共同事業法の適用を免れることができます。一回信託しますと、信託銀行の管理下に入り、不動産特定共同事業法は適用されません。
世間で行われているYK-TK方式は、以上の理由から不動産特定共同事業法が適用されない場合がほとんどですが、「サーフ」と言われる住友不動産の金融商品だけは例外です。
この場合、住友不動産のビルを信託無しで証券化するには、不動産特定共同事業法の許可を受ける必要があります。(下の図から信託銀行を除いたスキームになります。)


※ なお、事業者は、許可制となっています。

1. 目的(1条)
この法律は、不動産特定共同事業を営む者について許可制度を実施して、その業務の遂行に当たっての責務等を明らかにし、及び事業参加者が受けることのある損害を防止するため必要な措置を講ずることにより、
その業務の適正な運営を確保し、もって事業参加者の利益の保護を図るとともに、不動産特定共同事業の健全な発達に寄与することを目的とする。

2. 定義(2条)
(1)不動産
  宅地建物取引業法2条1号に掲げる宅地又は建物をいう。
(2)不動産取引
  不動産の売買、交換又は賃貸借をいう。
(3)不動産特定共同事業契約(同契約の締結における代理又は媒介は、規制対象です。)
  次に掲げる契約(予約を含む。)であって、契約(予約を含む。)の締結の態様、
  当事者の関係等を勘案して収益又は利益の分配を受ける者の保護が確保されていると
  認められる契約(予約を含む。)として政令で定めるものを除いたものをいう。
  ① 各当事者が、出資を行い、その出資による共同の事業として、そのうちの一人
    又は数人の者にその業務の執行を委任して不動産取引を営み、当該不動産取引
    から生ずる収益の分配を行うことを約する契約  - 任意組合
  ② 当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため出資を行い、相手方がその出資さ
    れた財産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる利益の分配を行う
    ことを約する契約  - 匿名組合(例:サーフ)
  ③ 当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため自らの共有に属する不動産の賃貸
    をし、又はその賃貸の委任をし、相手方が当該不動産により不動産取引を営み、
    当該不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを約する契約 - 共有の場合
  ④ 外国の法令に基づく契約であって、前三号に掲げるものに相当するもの
     -(例:リミテッド・パートナーシップ契約)

投資信託及び投資法人に関する法律

REITを買うのと、不動産会社の株を買うのは、基本的には同じように見えても違います。
不動産会社の株を買った場合には、儲けの中からまず法人税を払います。その後、残りを
投資家に配当して、更に投資家が所得税を払う二重課税になっています。それに対して、
REITの場合は、90%以上を配当すれば法人税を払わなくて済むので、税負担が軽いです。
なお、株には色んな種類がありますが、不動産証券の投資口は一種しか発行できません。

<委託者指図型>


<委託者非指図型>


<投資法人型> - REIT

1. 目的(1条)
この法律は、投資信託又は投資法人を用いて投資者以外の者が投資者の資金を主として有価証券等に対する投資として集合して運用し、その成果を投資者に分配する制度を確立し、これらを用いた資金の運用が適正に行われることを確保するとともに、この制度に基づいて発行される各種の証券の購入者等の保護を図ることにより、
投資者による有価証券等に対する投資を容易にし、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

2. 定義(2条)
(1)委託者指図型投資信託
  信託財産を委託者の指図(政令で定める者に指図に係る権限の全部又は一部を
  委託する場合における当該政令で定める者の指図を含む。)に基づいて主として
  有価証券、不動産その他の資産で投資を容易にすることが必要であるものとして
  政令で定めるもの(以下「特定資産」という。)に対する投資として運用することを
  目的とする信託であつて、この法律に基づき設定され、かつ、その受益権を分割して
  複数の者に取得させることを目的とするものをいう。
(2)委託者非指図型投資信託
  一個の信託約款に基づいて、受託者が複数の委託者との間に締結する信託契約により
  受け入れた金銭を、合同して、委託者の指図に基づかず主として特定資産に対する
  投資として運用(政令で定める者に運用に係る権限の一部を委託する場合における
  当該政令で定める者による運用を含む。)することを目的とする信託であつて、
  この法律に基づき設定されるものをいう。

3. 委託者指図型投資信託
(2)投資信託約款
  ① 届出義務
    金融商品取引業者は、投資信託契約を締結しようとするときは、あらかじめ、
    当該投資信託契約に係る委託者指図型投資信託約款の内容を内閣総理大臣に
    届け出なければならない(4条1項)。

4. 投資法人
(4)資産運用会社による特定資産の価格等の調査(201条)
  資産運用会社は、資産の運用を行う投資法人について特定資産の取得又は譲渡が行わ
  れたときは、内閣府令で定めるところにより、当該特定資産に係る不動産の鑑定評価
  を、不動産鑑定士であつて利害関係人等でないものに行わせなければならない。
  ただし、当該取得又は譲渡に先立つて当該鑑定評価を行わせている場合は、
  この限りでない。
(5)投資法人から委託された権限の再委託等(202条)
  資産運用会社は、投資法人の委託を受けてその資産の運用を行う場合において、
  当該投資法人から委託された資産の運用に係る権限の全部を他の者に対し、
  再委託してはならない。

金融商品取引法(省略版)

1. 目的(1条)
この法律は、企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め、金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により、有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にするほか、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、
もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする。

2. 定義(2条)
(1)有価証券
  この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。
  ① 社債券(5号)
  ② 株券又は新株予約権証券(9号)
  ③ 信託法に規定する受益証券発行信託の受益証券(14号)
  ④ 抵当証券法に規定する抵当証券(16号)
(2)みなし有価証券
 次に掲げる権利は、証券又は証書に表示されるべき権利以外の権利であっても有価証券
 とみなして、この法律の規定を適用する。
  ① 信託の受益権(投資信託の受益検証に表示されるべきもの及び一定の有価証券に
    表示されるべきものを除く。)
  ② 合名会社若しくは合資会社の社員権(政令で定めるものに限る。)又は合同会社
    の社員権
  ③ 民法組合契約、匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合
    契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利(外国の法令に基づくものを
    除く。)のうち、当該権利を有する者(出資者)が出資又は拠出をした金銭を充
    てて行う事業(出資対象事業)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に
    係る財産の配分を受けることができる権利であって、一定のもの。